最近、自分の中でツムツムブームが到来している。
ツムツムというゲームは知っているだろうか。
様々なディズニーキャラクターが、ツムと呼ばれる小さいぬいぐるみとなって上から落下してくる。それを一定数繋げると消すことが出来て、その速さや得点を競うものである。
最近の私といえば、電車でもツムツム、大学でもツムツム、暇さえあればツムツムに勤しんでいる。
立っててもツムツム、座っててもツムツム、座っている状態から立っている状態に移行するときなんかも、ツムツムをしている。
歩いているときは歩いている。私は長男なのでそこらへんの分別はある。
思えば、ツムツムより”再燃する”ゲームはないのではないか。
調べたところ、ツムツムがリリースされたのは2014年。
2014年というのは今から約8年前であり、私でいうと、まだ体の重要なところに毛が生え始めていない時期である。
その頃からプレイしていたのかと聞かれると、まあやっていなかったのだが、少なくとも毛が生え始めたくらいの時期にはツムツムを始めていたような気もする。
そして自分の毛を気にし始めたくらいの時期には、ツムツムに飽きていた。ツムツムとはそういうものである。毛の周期にリンクしながら、人はハマったり飽きたりを繰り返していく。ここに私たちはインド性(インドらしさ)を見出すことができる。
インドの宗教観とは、平たく言えば輪廻思想であり、みなさんの頭にあるあの輪廻である。そう、その輪廻。
インド人は円環としての時間、万物の生成流転の表象としての時間を大事にしており、世界はさまざまな神によって無限に創りかえられると信じている。
しかし古代インドでは、時間の概念はむしろタイトであった。
天体の動きに合わせて、祈りをささげ、儀式を行った。彼らは時間とともにあった。
彼らの数字感覚の優秀さや、マルチタスキング能力による時間の効率化なども側面としてあるだろうが、彼らの時間感覚が長い年月をかけて無頓着になったのは、やはり輪廻する世界に生きているからだろう。
もしかすると私とまったく同じ時間に、inインドで、その時間感覚にツムツム性(ツムツムらしさ)を見出したインド人がいるかもしれない。
もしこれを読んでいたら連絡をください。新宿でラッシー飲んで、一夜を明かしましょう。
また、ツムツムが他のゲームと大きく違う点として、勝手にLINEと連動されるという点にある。
これにより「(任意のゲーム)やってる?」といった高い敷居を越えずとも、LINEの友だちであるだけで、そのゲームをプレイしているか、どのくらいやっているのかが一目でわかる。
そしてなぜか、明らかにスコアが高すぎる人間が、一人いる。
絶対に一人いるのだ。
ツムツムをプレイしている人は、全員ランキングを見に行ってほしい。必ず一人だけ突出している人がいるはずだ。ちょうど一人。
一人だけランキングの中でスコアの桁が一つ違い、その脳は完全にツムツムをプレイすることに特化され、そのツムをなぞる速度は、とても人間の目では捉えられない。
一説によれば、その速度は音速を超え、指先は光速を超える場合もあるとされている。どおりで、逆に遅く見えることもあった気がする。
ちょうどヘリコプターのプロペラを撮影すると止まって見えるときがあるように、そいつだけがツムツムの世界に取り残されているような。そんな感覚が。無かったか。みなさんはどうだろうか。
体感として、ツムツム脳が異常に発達している人間は40人に一人。大体一クラスである。
合唱コンクールでは、それぞれのクラスの生徒から伴奏者を出すために、小学校のクラス分けでは、ピアノを弾ける生徒(ピアナー)がクラスに一人は存在するように分けられる。
ああ
ツムツム性だ。
合唱コンクールとは、ほぼツムツムなのである。
要するに、合唱コンクールでは壇上でツムツムをプレイしても問題なく、伴奏者がポコポコをプレイしてもなんら支障はないのだ。むしろそちらを推奨している学校もある。
もしかしたら、たった今発表が終わり、ライトに照らされ、拍手喝采の中、またも私と同じ時間にツムツム性を見出した女子中学生がいるかもしれない。
もしこれを読んでいたら連絡をください。インドでピアノ弾いて、一夜を明かしましょう。
幸い、こちらには知り合いのインド人が一人います。
そんなことを思いながら我に返る。今は電車の中、大学に向かっている途中。
ふと横を見ると、同じような大学生がツムツムをしていた。
最近始めたのだろう、指先はおぼつかなく、画面に顔が付きそうなほど近づいている。
ジーンズからは、長い財布が飛び出している。
経験上、ツムツム中は何をされても気づかない。以前私は、プレイ中に両腎臓(左右の腎臓)を抜き取られたことがあるが、次のトイレまで気づかなかった。
それ以来、私はツムツム財布ハンターとして生計を立てている。
もしこの道に興味がある方いたら、連絡ください。
ツムツムやってる大学生を探しながら、一日中山手線に乗って、円環の時間を過ごしましょう。
インド人と、女子中学生もいますから。